泡沫の依り代 - 灯油
词:Touyu 曲:Touyu
いる筈もない僕は
確かにここにいて
しくしくと胸を痛めるんだ
見られたくない姿をずっと隠して
でも本当は誰かに
肯定してほしいそんな気持ちに
不透明な身体がふわふわ浮いて
誰にも見えないけれど
ねぇここに居るんだよ
そんなさけび声は
きっと誰にも届かない
彼岸の花が咲いた此の世には
僕の居場所なんて
もうどこにも無いんだ
そう何にもないんだ
毎夜液晶に映る霊能者でも
僕の姿はどうやら見えないらしい
そんな見えない僕へ
ふいにあてられた視線の先
涙を浮かべている女の子
心配になって声をかけてみる
(どうせきこえやしないけど)
どうしてきみは泣いてるの
「すごくうれしくって」
きみは僕の手を握って
瞳を合わせた
ふわふわに浮いた身体を
離さないよう
力強くそれでいて
やさしさをもって
そっと笑いかけてくれた
本当は見えちゃいけないんだ
本当はいちゃいけないんだ
それでもきみは僕の手を離さない
もう満たされたんだ
だからきみは元の場所に
「あなたは私の光になってくれた
瞳に色彩を与えてくれたの
暗い世界に
閉じられたままでいるなら
このままいっそ連れ去って」
泡沫のような僕と
のろわれたきみで
ちいさな手を繋いでくるくると
彼岸の花が咲くこの世を渡って
音もない遥か遠い世界へ駆けて