天下八ッ過ぎ
浮世 男よ
善ゐ人だけれど幕の切り時
毎日を咲く
カリソメ枕
好ゐて好かれた男が哀しゐ
女は誠の誓ゐなんての要らないの
大概が芝居さ
惚れた腫れた目眩めいた
嗚呼 秋ノ空
六日の 菖蒲(あやめ)
カリソメ心
喰つて喰わされ男は哀しゐ
女は嘘を吐いたって善ゐじゃないか
相應の茶番で
粧し込むでゐなくちや屹度
もう狂つてゐるつて
好けなゐ男 色男
わっちは悪くなゐわいな
切っても切っても切られぬ
嗚呼 幕ノ内
七ッ下がり
本当は添いたいよ と 云って
帰らないで頂戴
淋しゐじゃないの
待つて 一寸(ちょっと)待つて
本性でありんす
ねぇ利き男
冗談よ 左様(さよう)なら
冗談よ 左様(さよう)なら