夜を往(ゆ)け - 中島みゆき
追いつけないスピードで走り去るワゴンの窓に
憧れもチャンスも載っていたような気がした
あれ以来眠れない 何かに急かされて
走らずにいられない 行方も知れず
夜を往け 夜を往け 夜を往け 夜を往け
砂の風吹きすさぶ乾いた道端にたたずんで
親指を立てながら待ちわびるだけだった昨日
憐れみのドアが開く車を見送って
ナイトニュースを聴くだけの昨日を捨てて
夜を往け 夜を往け 夜を往け 夜を往け
遠ざかる街の灯はまるであの日の夢のようだ
恋人よ あの愛と比べるものがあり得たのか
蒼ざめた微笑みが瞼をよぎる
出まかせのなぐさめが心をなぶる
夜を往け 夜を往け 夜を往け 夜を往け
なにも見えない夜の彼方からむせび泣く口笛が聴こえないか
忘れられない夢のカケラが数えきれない星くずを鏤める
夜を往け 夜を往け 夜を往け 夜を往け
夜を往け 夜を往け 夜を往け 夜を往け