一枚の静けさが通り抜け
遥か昇ってそよぐ風に重ねた
靴あとで砂を漕ぐ向こう岸
川の流れが僕の手をふった
バス停の滲んだ文字
白線の掠れた続き
少し屈んで指でなぞった
あの日がのばした紙にとけてく
見えたものは
見つけたものは空を
優しく奏でて僕達にかえる
流れた光の道しるべが
遠くで眠る
明日を繋いだ
彩が顔をあげ背伸びする
ピンク色した春が揺れていた
階段をかけ上がって
いつもの公園のベンチ
鞄を置いて息を吸い込む
はしゃいだあの日の声が笑った
見えたものは
見つけたものは空を
夕焼けに染めて
僕達にかえる
きらめく街を眺める様に
浮き雲みっつ
ぷかぷかおよいだ
小鳥達が
羽ばたいた
夕日が深く
沈んでゆく
街と空が
やがて
逆さまになる
小さな頃に見た夢の中で
大人の僕は微笑んでいた
積み上がった記憶をのぼり
丸い背中は
明日を見上げた
肩を組んで笑った日や
手を合わせて喜んだ日や
うなだれて悲しんだ日や
1人部屋で泣いた日を
一枚一枚書き出して
それは個々に姿を変える
見上げた横顔表情温度息づかい
月明かり淡く瞬き
木陰を空へ押し戻す
花びらが隙間をおよいで
湖に寄り添った
春の鏡を掠めて揺れた
手あとを残したあの教室の扉
今も時間の栞を
思い出を閉じ続ける
オレンジに伸びた影が
僕の歩幅を変えて行く
それはこうして
風に乗って
季節のページをめくる
一粒の羽が
明日へと羽ばたく
駆け抜けた日々は
今日を高く高く
希望へと繋ぐ
写る姿が
見上げた空が
開く両手が
明日を今日に変えた
光が咲いた
見えたものは
見つけたものは全て
心を巡って僕達にかえる
想いは遥か彼方を抜けて
虹の橋をそこに架けた
僕らは歩き始めた
木漏れ日が世界を
始まりを称えた
輝きは目覚めを時を刻んだ
流れるそよ風が
空をめがけ抜けてゆく
手をかざしてみてほら
あたたかい