君のいる場所 - 伊藤静
静かに舞い散る粉雪
心の深淵 惑わす
ゆびさき 優しく触れては
淡い夢見せて 消えてく
いつからここにいるかなんて
わからない もう それでも
見渡す限りの 白い白い世界で
手をのばしても幻しかつかめずに
不確かな景色に埋れ 彷徨いながら
泣いてもいい 叫べばいい
いまはただ 探し続けて
冷たい身体を包んで
降りそそぐ光 ぬくもり
こぼれた涙は新しい
想いを育み 消えてく
ほんとはどこにいるかなんて
わからないけど それでも
降り積もった雪を照らす陽の光が
ひとつひとつ 幻の影なぞっては
朧げな景色(いろ)全てをとかしてゆくよ
ほんとうに たいせつな
ものにいま たどり着くから
見渡す限りの 白い白い世界は
胸のおく深くそこに確かにあって
苦しみを涙を傷を抱きしめたら
「ただいま」と 笑えばいい
いまここに 君はいるから