金魚すくい - 藤田麻衣子
プラスチックの箱の中 今日も泳ぐ
毎日覗き込まれては 逃げ回って
私に触れたってすぐに 網は破れ
またこの水溜まりへと たたきつけられる
期待なんて言葉は 忘れてしまった
何も感じない 日常を泳いでた
そしてあなたが 目の前現れた
狭い狭い水溜まりから
あなたが私を すくってくれたの
偶然でもいい その網で
すくってくれたの
あなたが運ぶ 透明な小さな袋
広い広い世界が 次々見えてきた
この深い藍色は あなたの浴衣
ヨーヨー片手に 走り去る子供達
一瞬にして 花火が空染める
プラスチックの水溜まりから
出てしまうとね 残された時間は
短くなるけど この世界
見れてよかったな
狭い狭い水溜まりから
あなたが私を すくってくれたの
偶然でもいい その網で
すくってくれたの
すくってくれたの