茨の窓 - 霜月はるか
茨の伝う窓辺に咲いた華が雨に震える
どうして濡れた世界は
鮮やかに見えるのでしょう
氷の筺のような冷たい幻の中
もう忘れかけていた物語
独りで眠る少女は永い永い夢を彷徨う
硝子の屋根の扉に君が訪れるまでは
小さな窓を隔てた君と語る雨の境界
その手を取れば世界は
何色に変わるのでしょう
誰かを愛していた
過去(きおく)が散らばる部屋を
ただ壊すだけならば出来るけど
哀しく微笑う少女の
思い出(しあわせ) には届くことなく
硝子の屋根の扉は
固く閉ざされたままで
Ar Rem le noh mirya wario
雨音止んだ窓辺で
消える君をそっと見送る
涙に濡れる世界も鮮やかに映りますか