桑田佳祐声に出して歌いたい日本文学歌词-查字典简谱网
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声に出して歌いたい日本文学

作者:
桑田佳祐
风格:
歌词
上传时间:
2017-01-02

  「声に出して歌いたい日本文学」

  作詞∶桑田佳祐

  作曲∶桑田佳祐

  歌∶桑田佳祐

  ▼『汚れつちまつた悲しみに……』 中原中也

  汚れつちまつた悲しみに

  今日も小雪の降りかかる

  汚れつちまつた悲しみに

  今日も風さへ吹きすぎる

  たとへば狐の革袋(かはごろも)

  小雪のかかつてちぢこまる

  汚れつちまつた悲しみは

  なにのぞむなくねがふなく

  倦怠(けだい)のうちに死を夢む

  汚れつちまつた悲しみは

  汚れつちまつた悲しみに

  なすところもなく日は暮れる……

  ▼『智恵子抄』 高村光太郎

  智恵子は東京に空が無いといふ、

  ほんとの空が見たいといふ。

  智恵子は東京に空が無いといふ、

  私は驚いて空を見る。

  桜若葉の間に在るのは、

  切つても切れない

  むかしなじみのきれいな空だ。

  智恵子は遠くを見ながら言ふ。

  阿多(あた)多羅山(たらやま)の上に

  毎日出てゐる青い空が

  智恵子のほんとの空だといふ。

  あどけない空の話である。

  ▼『人間失格』 太宰治

  恥(はじ)の多い生涯(しょうがい)を送ってきました。

  自分には、人間の生活というものが、

  見当つかないのです。

  自分は隣人と、ほとんど会話が出来ません。

  そこで考え出したのは、道化でした。

  最後の求愛でした。

  夕立ちが降った或(あ)る放課後、

  「耳が痛い」と言う竹一を見ると、

  ひどい耳だれで、

  念入りに耳の掃除をしてやりました。人間、失格。

  いまは自分には、幸福も不幸もありません。

  自分はことし、二十七になります。

  白髪がめっきりふえたので、

  たいていの人から、四十以上に見られます。

  子供相手の雑誌だけでなく、

  駅売りの粗悪で卑狼(ひわい)な雑誌などに

  汚いはだかの絵などを画いて、

  画いていました。人間、失格。

  ▼『みだれ髪』 与謝野晶子

  やは肌のあつき血潮(ちしほ)に

  ふれも見でさびしからずや道を説く君

  乳ぶさおさへ神秘(しんぴ)のとばりそ

  とけりぬここなる花の紅(くれない)ぞ濃き

  いとせめてもゆるがままに

  もえしめよ斯くぞ覚ゆる暮れて行く春

  春みじかし何に不滅(ふめつ)の

  命ぞとちからある乳を手にさぐらせぬ

  人の子の恋をもとむる

  唇に毒ある蜜をわれぬらむ願ひ

  ▼『蜘蛛の糸』 芥川龍之介

  ある日の事でございます。

  御釈迦様(おしゃかさま)は極楽の

  蓮池(はすいけ)のふちを、独りでぶらぶら

  御歩きになっていらっしゃいました。

  この極楽の蓮池の下は、

  丁度地獄の底に当っておりますから、

  水晶のような水を透き徹(とお)して、

  三途(さんず)の河や針の山の景色(けしき)が、

  丁度覗(のぞ)き眼鏡(めがね)を見るように、

  はっきりと見えるのでございます。

  地獄の底に、カンダタと

  云う男が一人、蠢(うごめ)いている。

  この男は、人を殺したり、悪事を働いた大泥坊、

  それでもたった一つ、善(よ)い事

  蜘蛛を殺さず助けてやったからでございます。

  御釈迦様は地獄の容子を御覧になりながら、

  カンダタには蜘蛛を助けた

  事があるのを御思い出しになりました。

  この男を地獄から救い出してやろうと

  御考えになりました。

  ▼『蟹工船』 小林多喜二

  二人はデッキの手すりに寄りかかって、

  蝸牛(かたつむり)が背のびをしたように延びて、

  海を抱え込んでいる函館の街を見ていた。

  蟹の生ッ臭いにおいと

  人いきれのする「糞壷(くそつぼ)」の中に線香のかおりが、

  香水か何かのように、ただよった……

  諸君、とうとう来た!

  長い間、長い間俺達は待っていた。

  半殺しにされながらも、待っていた。今に見ろ、と。

  しかし、とうとう来た。

  俺達は力を合わせることだ。

  俺達は仲間を裏切らないことだ。

  彼奴等(あいつら)如(ごと)きをモミつぶすは、

  虫ケラより容易(たやす)いことだ。

  「おい、地獄さ行(え)ぐんだで!」

  「ストライキだ。」

  ▼『たけくらべ』 樋ロー葉

  何時(いつ)までも何時までも

  人形と紙雛(あね)さまとをあひ手にして

  飯事(ままごと)ばかりして居たらば

  嘸(さぞ)かし嬉しき事ならんを、

  何時までも何時までも

  人形と紙雛さまとをあひ手にして

  飯事ばかりして居たらば

  嘸かし嬉しき事ならんを、

  ゑゝ厭や厭や、大人に成るは厭やな事、

  何故このやうに年をば取る、

  最(も)う七月(なんつき)十月(とつき)、

  一年も以前(もと)へ帰りたい

  汚れつちまつた悲しみに

  今日も小雪の降りかかる

  汚れつちまつた悲しみに

  今日も風さへ吹きすぎる

  ▼『一握の砂』 石川啄木

  東海の小島(こじま)の磯(いそ)の白砂(しらすな)に

  われ泣きぬれて 蟹(かに)とたはむる

  いのちなき砂のかなしさよ

  さらさらと 握れば指のあひだより落つ

  こころよく 我にはたらく仕事あれ

  それを仕遂(しと)げて死なむと思ふ

  友がみなわれよりえらく見ゆる日よ

  花を買ひ来て

  友がみなわれよりえらく見ゆる日よ

  花を買ひ来て 妻としたしむ

  一握の砂

  ▼『吾輩は猫である』 夏目漱石

  吾輩(わがはい)は猫である。名前はまだ無い。

  吾輩は猫である。名前はまだ無い。

  ある穏やかな日に

  大きな猫が前後不覚に寝ている。

  彼は純粋の黒猫である。

  吾輩は猫である。名前はまだ無い。

  吾輩は猫である。名前はまだ無い。

  ▼『銀河鉄道の夜』 宮沢賢治

  銀河ステーンョン……

  ジョバンニはもういろいろなことで胸がいっぱいで

  なんにも云えずに博士(はかせ)の前をはなれて

  早くお母さんに牛乳を持って行って

  お父さんの帰ることを知らせようと思うと

  もう一目散に河原を街の方へ走りました。

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