僕は初音ミクとキスをした - 緑川光
キス
伝えきれない事は
きっとわかってるのに
どうして熱は冷めないの
そう 前に 前に 手を伸ばして
今日も 今日も 出来なくて
四畳半の部屋で
独りきりで哭(な)いた
僕はそんな そんな
意気地ない世界を 歌を
誰かに 唄って欲しかった
東京に来たのは
2月の終わり頃で
目下すべき事は
仕事探しだったりする
伝えたい事なんて
実は少ない事を
後ろめたく思いながら
ねえ なんで なんで 繰り返すの
若いフリを 続けるの
そんな自問自答
胸を荒ませていった
僕は こんな こんな
丸くなった猫背が
本当の僕だと 認めてしまってた
証明できない 自分の感情
言葉にしてみても どこか違う
求めてるばかりの
日々だと気づいた
それじゃダメ 変わるのは自分だ
ねえ 東京も慣れたよ
恋人はいないけど
心亡くさずにやってるよ
そして 前に 前に 手を伸ばして
今日も 今日も 出来なくて
七畳半の部屋で
独りきりで哭(な)いた
僕はそんな そんな
意気地ない世界も 歌も
誰かに 届けてみたくなった
届けていられたら