静謐なる私小説 - ALI PROJECT
恋に堕ちる唄なら
詩人たちが星の数書く
金糸雀の声持つ歌姫たちが
月昇るたび さえずる
だけどわたしのこころに
あるのはただひとつの恋だけ
かつて愛された
想い それがあるから
夢も明日もいらない
小さな籠のなか暮らすの
愛に裂けた傷なら
時の針が痕なく縫おう
青褪めた裸の踊り子たちは
情熱を舞いつづける
だけどわたしのこころに
咲くのは散ることない黒薔薇
誰かを愛した
記憶 それがあるから
恐れも寂しさもなく
穏やかな微笑でいるの
いつもわたしのこころに
あるのはただ一度の恋だけ
褪せる事のない
秘密を抱いたままで
一生 誰にも語らず
静かなる微笑で生きる
やがて老いていくほど少女のように